心を打ち明けるおはなし
カミングアウト
この言葉は
自分が同性愛者である以上、常にまとわりついてくる。
カミングアウト(英: coming out)とは、これまで公にしていなかった自らの出生や病状、性的指向等を表明すること。 英語の動詞形でカムアウト(英: come out)とも言う。 逆に、他人の秘密を暴露することをアウティング(英: outing)という。
実は自分、結構カミングアウトはしていて。
別に好んですることではないと思っているし、人に強要するつもりもない。
でもただ、自分の場合は、自分を隠さないで話せる。自分の好きな人、もののことを嘘をつかずに話せる人がいることで、人生が180度変わった。といっても過言でないくらい、息がしやすい世界になって。
考え方は人それぞれだけど、
ゲイだということを今自分が引け目だと思わないで生きていられることが
ただ本当に幸せだなあと。
好きな人のことを、好きだって話せる存在ってこんなにも大きいんだななんて。
昔の自分は想像もしていなかったよなあ。
初めてのカミングアウト
初めて自分がゲイであることをカミングアウトしたのは、大学2年の冬。
ちょっと背伸びしてはいってみた、渋谷の明治通り沿いのビルを地下に降りたイタリアンバルにて。当時のバイト先の、4個上の大好きだった女の社員さんに。
ワインの味なんてわからないのに、
わかった振りをして、酔いを味方につけて、それでも震えた声で、
「俺、女の子のこと、恋愛対象として見れないんだよね。」
なんて中途半端なカミングアウト。
それでも彼女は、驚いていたけれど、開口一番
「嬉しい。言ってくれてありがとう。」
って頭をなでてくれた。
それからほどなくせず、バイト先の先輩2人に続けて自分がゲイであることを伝えて、
やっぱり2人とも驚いた顔を一度して、それでも喜んでくれた。
「ようやく本当の○○を知れた気がするよ。」
「もっと早くいってほしかった。今後彼氏紹介してね?」
自分のことを認めてもらうことが、
こんなにも嬉しいことだなんてと感動した記憶が鮮明に残っている。
当時付き合っていた彼氏が、当たり前のごとくカミングアウトをしていたから、
それに影響されたこともある。その人とはすぐに別れたが。
20歳の時にカミングアウトをしたものの、
ただこの時の自分はまだ、
自分という存在が認められたという自己承認が嬉しかっただけなんだと思う。
やはり自分がゲイであることには引け目を感じていたし、
今後の自分の人生についても決して明るくはなかった。
その後も、自分はバイなんだ!と言い聞かせて、
女の子とも付き合った。もちろん上手くいかなかった。
2回目のカミングアウト
今から約2年半前。
今の彼氏さんと最初にお付き合いしていた時。
その時は正直上手くいかなくて一度振られてしまっているんだけど、
それでも積年の恋が叶った僕は舞い上がっていて。
今までは”彼氏”=”彼女”に変換して、時には嘘もついて塗り固めてきた自分の恋愛の話。
恋バナを人にするのも好きじゃなかったし、そもそもそんなに人を好きになるってことを経験したことがなかったのだと、昔を振りかえると、思う。
それでも、この恋は、誰にも嘘をつきなくない。
こんなに好きな人のことで、嘘をつきたくない。
自分の大切な友達に嘘をつきたくない。
今まで、
「ゲイであることを知ってほしい」「自分を認めて欲しい」
という感情が先行していた自分がいつの間にか、
「人にも自分にも、嘘をつくことが嫌だ、だから伝えたい」
という気持ちに自然と変化していっていたのでした。
認めてほしい!
という気持ちが少しずつ小さくなっていったことで、
カミングアウトへのハードルも低くなって、
もちろん伝える人は選ぶけれど、自分が自然体で接することのできる人が沢山増えた。
そして嬉しいことに、皆が僕の恋を応援してくれる。
(彼氏さんは同じコミュニティ出身なので、共通の知り合いが多いのです)
自分で自分を受け入れないことには、
きっと人に受け入れてもらうなんてできないんだろうなあ。
自分のアイデンティティに悩み苦しんで、未来に希望を持てずに
自暴自棄になってしまっていた、10代の自分に伝えたい。
ゲイとして生きていくこと、捨てたもんじゃないよ?